vol.49『仕事ごっこ』から見える20代の若者に伝えたいフレーズ
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平易な表現を用いて、ビジネスシーンにあるくだらない慣習に切り込む、なんとも爽快な内容。あるある、と頷きながら読むようなイメージだ。
新型コロナウイルスの影響で、働く環境が強制的に切り替わる中、本著にある「仕事ごっこ」に掲載されている"常識"は、今こそ変える時と言えるであろう。
私たちの身のまわりには、無駄にモチベーションを奪っている慣習がたくさん存在しています。それらは「定例」「あたりまえ」「常識」の仮面をかぶって居座り続けています
2020/4/3の日本経済新聞にも、ハンコによる作業(押印、承認)によって、テレワークでの業務を妨げていると記載があった。風情は認めるが、事業スピードを上げるためにも、そろそろ古い慣習はアレンジする必要がある。
本著の冒頭にも記述があるが、そもそもビジネスシーンで時間を奪うケースの大御所として、紙による管理・運用があるであろう。紙で管理すると数え切れないほどあるが、
- 印刷するコスト・時間
- ホッチキスの時間・コスト・管理
- 共有が面倒
- 管理スペース取る
- 管理コストかかる
- 保管業務が増える(ファイル管理)
こういうことが起きてしまう。無論、手元にあることでの
- 安心感
- 書き込める手軽さ
- 物理的な所有
などもあるが、やはりこう列挙してみると、対面でリアルで集うということを前提とした"システム"ということが理解できるのではないか。
「zipファイル+パスワード別送」についても強烈に切り込んでる。ビジネスシーンでは慣れきったこの慣習、これはビジネスインフラがメールベースでの話だ。slack、チャットワークなど、PJT単位でのやりとりはチャットツールの時代だ。限られたメンバーでのやりとりであれば、そもそもパスワード管理する必要性は薄れる。
はじめてやりとりする相手とはメールでやりとりするにしても、継続的にコミュニケーションする相手とはグループウェアなどで信頼関係を結び、その中でパスワードをつけずにスピーディにやりとりする。場所や時間を選ばず情報共有できる環境を整える
「zipファイル+パスワード別送」は、送信する側だけスッキリして、受け取る側の手間やセキュリティリスクに配慮しない、自己満足な習慣ともいえます
確かにセキュリティ管理は大切だが、行きすぎた感もあるかもしれない。事実、グローバルでここまでの事例はなく、これまたガラパゴス現象らしい。
他にも同類の「仕事ごっこ」は山ほどある。抜粋。
なぜ、日本の会社の新入社員は電話対応とコピーから始めなければいけないのでしょうか? ほかの国の会社の若手と、実力の差がつきます
確かにその通り。「新入社員は使えない」という先入観はなぜ生まれるか。そもそも荒波を潜り抜けて入社しているんだから、彼らが早速活躍できるために支援することが必要だ。電話対応もコピーは必要な仕事だが、電話はコールセンターに外注し、コピーは取らずデジタル化が進む。コアはコミュニケーションであり、礼儀であり、そこを伝承できれば問題ないはずだ。
挨拶回り、表敬訪問、あるいは視察。この手の慣習は、なかなかなくなりません。なぜなら、するほうもされるほうも「仕事した感」に浸れるからです
自分が清掃会社で社長をしていた時、数週間前に現場のお客様に会ったので、電話で年末の挨拶をしたら、かなり不評だった。会いに行くことが目的になっている。なのに2週間後の新年の挨拶にもいく。来る方も来る方で、いきなり年始に来てもすれ違う。そういう根性的な不確実性の高い行動はもう控えようよ、と言いたい。計画的に、効果的に、目的をもって、面談をすべきではないだろうか?
挨拶が目的ではなく、感謝も目的でなく、双方の会社が今後、どのように仕事をしていくかということを詰めるべきで、そのための手段として「挨拶」だと思う。「単なる挨拶」なんて意味ないでしょ、と思っているので、いまは一切やらない。時間がもったいないから。
最後に、著者が語る上司像について。抜粋。
「苦労して出世し、いまのポジションを手に入れたんだ。キミたちも、偉くなりたければ理不尽に耐えろ」その気持ちはわからないでもないですが、あなたの自己満足でしかないかもしれません
管理職のミッションは、チームをゴールに導くこと。そのためなら、管理職のあなたから部下に相談するなり、報告するなりしてもいいはず。そのほうが、部下も管理職に話しかけやすくなります
過去に味わった理不尽な労苦を、他の人にはさせないで、組織を健全に育てていく
苦労という言葉だけが走ることがある。苦労とは成功する、前に進めるための手段のはずだ。理不尽な苦労は排除すべきだし、考え方としては目の前にいる新人なり部下にとって、どういうやり方、伝え方が、本人の能力・やる気を引き出せるか、で考える。それが自分の過去と同じであれば伝えればいいが、そうでないならそれは年配者の単なるマスターベーションだ。
正しく活躍して、正しく価値を発揮できる。ダイバーシティ本来のゴールは、そこのはず。本質に立ち返り、邪魔するものは少しずつでも排除していきましょう
うさぎ跳びはさせない。それは今の時代のトレーニングにミスマッチだから。ビジネスシーンも同様だ。目的をしっかり見据えて、必要性を考えないと意味がない。
最後にこれは自分自身もよく言っているフレーズ。抜粋。
イノベーションは、いままでのやり方の延長線上にはありません。前例なきところに、新しい未来が生まれるのです
そう、常にポジティブに、常に実用的に、そして、常に後輩の言葉に耳を傾けて、優しく。自戒の念を込めて。これから出会う若きリーダーにエールを送りたい!
まとめ
- 無駄にモチベーションを奪っている慣習は即見直すべき
- 管理職のミッションは、チームをゴールに導くこと
- イノベーションは、いままでのやり方の延長線上には存在しない