良著から見えてくる20代の若者に伝えたい仕事に効く100フレーズ

日々読破している様々な書籍の中からフレーズを拾い、ぜひ20代のニューリーダーに知って欲しい「仕事に役立つエッセンス」を紹介しています。仕事に悩む若き社会人の一助になればと願います。メッセージでのご相談大歓迎です!

vol.47『その経営、33%足りていません』から見える20代の若者に伝えたいフレーズ

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故 藤戸幹雄氏とは、大阪で知り合った。大手企業のデザイン経営会議というゴツい環境で彼はデザインの大切さ、難しさを説いていた。ビジュアルが重視されがちの「デザイン」について、彼なりの根拠を本著で語っている。残念ながら一昨年亡くなったが、彼との会話も思い返しながら綴りたい。

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冒頭で彼が語るデザインの定義からまずは取り上げる。彼は経営にデザインを取り入れるべきだと常時語っている。

経営にデザインを取り入れるのに大切なことは、優れたデザイナーの雇用と活用ではありません。経営ビジョンの意識改革と、経営陣による視覚を取り入れたマネジメントなのです

デザインと経営の大切さはGAFAをはじめとしたIT企業と日本のメーカー企業との対比でよく語られる。日本企業は高度経済成長期、デザインより機能を重視してきたように思う。ミスなく、常時稼働し、小型で、低燃費。だからこそ日本は躍進した。

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しかし、昨今のモノづくりでは機能はそこそこでも、デザインに優れた商品がバズる傾向が強い。機能による差別化が難しい時代となり、世に出ても在命期間が短い。インターネットの登場により、ビジュアルでのマーケティングが重要になってきたことの影響も大きいように思う。

日本の経営者はデザインを見ていないケースが多く、多くの製品・サービスを提供している大企業ほど、その状況は顕著になります

日本の製品には「思想」がないから死骸になってしまう。思想のない曖昧な製品で売れないものがいっぱいできている。日本の製品には「思想」がないから死骸になってしまう。思想のない曖昧な製品で売れないものがいっぱいできている

彼の言葉にあるように、経営陣がデザインということを理解し、そこにリソースを割く意識が確かに薄い。経営者がデザインに深い興味を示すという話も確かにあまり聞かない。「経営者が自社の商品、サービスのデザインの特徴を言えない」と著者は指摘する。

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マーケットと企業を最初につなぐのは、商品を模したロゴなどのデザインなのかもしれない。そういう意味では会社の営業マンであり、シンボルでもあるわけだから、重要視しなければいけないのであろう。

デザインの定義を著者はこう記す。

「ビジュアル」は「デザイン」によって生まれる視覚的な部分だけを指す言葉です。デザイン(design)とは、de(計画)+sign(style 形)のこと。つまり、本来のデザインとは「計画を形にする」ことなのです

非常に深い言葉と思う。それだけデザインとは広義であり意味を、会社のビジョンを持たせなければいけないと認識した。

 

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さらに著者はデザインを構成する要素をこう説明している。

  • 概念化
  • 媒体要素
  • 視覚化能力
  • 調整能力
  • システム化

最も重要なのが「概念化」であり、その象徴がロゴマークと伝えている。企業の「らしさ」とも言えるであろう概念は確かに、ロゴに集約されている必要があるのであろう。

 

GAFAに続く、ユニコーン企業が日本から出ないと言われて久しい。デザインではなく性能を重視するために、ミスなくソツなく進める従順な会社員が尊ばれた時代が日本は長かった。それが故に、挑戦することを避け、平均点を伸ばし、顧客ではなく上司の顔色を見ながら仕事をする癖が、日本のビジネスシーンにはこびりついてしまったように見える。

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最終章では企業における新規事業の捉え方が綴られている。著者の日本のこれからのビジネスマンへのメッセージのようにも聞こえる。抜粋。

ソニー盛田昭夫氏は、常々、「社内に健全な赤字部門を作れ」と言っていたようです。ソニー生命保険もこの「健全な赤字部門」だったのでしょう

共著者である橋本眞史(ソニー生命ライフプランナー第一号)は盛田昭夫氏からこの言葉を聞かされたという。

経営者の立場にある人及び次世代リーダーは、既存の事業を続ける中で、マーケットを見つめ、その利益を将来の投資、将来の人材に回す気概を求められていると感じる。失敗を認め、挑戦を尊ぶ世界を作るためにも、経営者が携わる範疇はただただ広いのであろう。

 

まとめ

  •  本来のデザインとは「計画を形にする」こと
  • デザインで最も大切なのは「概念化」
  • 将来のために、社内には健全な赤字部門が必要である
その経営、33%足りていません デザイン経営会議

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