良著から見えてくる20代の若者に伝えたい仕事に効く100フレーズ

日々読破している様々な書籍の中からフレーズを拾い、ぜひ20代のニューリーダーに知って欲しい「仕事に役立つエッセンス」を紹介しています。仕事に悩む若き社会人の一助になればと願います。メッセージでのご相談大歓迎です!

vol.27「町工場の娘」から見える20代の若者に伝えたいフレーズ

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小綺麗な女性が笑顔で表紙に写っている。それこそ大田区の蒲田の本屋で見かけたのを鮮明に覚えている。その後、板橋で講演を聞く機会があったのでKindleで読みふけった。

 

恐ろしいほどに彼女の境遇は自分と酷似していて、思わず公演後に本人にその旨を打ち明けた。

  • 大田区在住であること
  • 大学が四大(この考えはローカルだけど)の成城と成蹊ということ
  • 全く異なる業種に突然変わったこと
  • 父の逝去でいきなり社長に就いたこと

冒頭は著者の父が病に伏す情景がリアルに描かれている。自分も大いに経験したが、人が亡くなるということは、生まれてくるのことは正反対にやることがとにかく多い。葬儀の準備、金銭の引き継ぎ、人間関係の把握など、枚挙に遑がない。

亡くなったお父様が率いていた会社メンバーに託されて社長になったものの、女性であるという偏見、業界を知らないというディスアドバンテージなどに苦しみながらも、強い、強烈なほどに強い信念を持って立ち向かう様は身震いせざるを得ない。そのくらい迫力のある行動を本著から深く読み取ることができる。抜粋

経営者には雇用責任がある。社員は家族のようなもの。苦しい時も、社員を切ることを考えるのではなく、社員を守るために、どうやって売り上げを伸ばすかを必死で考える必要がある

その後、彼女は会社の未来のために改革を次々と打ち出していく。自分も体験したことだが、イノベーションの最初の壁は社内にある。抜粋。

「会社を良くするため、社員を守るためには、絶対にこれが必要なのに、なぜわからないのだろう」 「こんなに考えて決断しているのに、どうして反発ばかりするのか」

痛いほどにわかる。TOPにとって改善する・変化するのがノーマルだが、従業員にとって今までと同じことをするがノーマルである。立場が違うから仕方ないかもしれないが、この手の悩みは尽きない。

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二代目社長に対するコンパクトな考え方が非常に深い。抜粋。

2代目は創業者の下で働いていた人が納得し、ついて来てくれるような方針を新たに掲げなくてはならない

代目はカリスマ性やリーダーシップで圧倒的に劣る。勘で動く自信がないから、すべての判断や行動の裏付けとして合理性が必要になる

深すぎる。納得。

もともと理系出身ということもあり、システム化はお手の物。ただ、自分と同様に基本的にこういう類の改革はほとんどの社員が反対する。

自分もスマホを導入し、社内情報をいつでも見れるようなインフラを整備した。「そんなのいらない」と言っていた67歳の従業員が70歳になった頃「これがないと仕事にならない」とこの前言っていた。何事も根拠を元に信念を持って続けることがいかに崇高な行為かと我ながら感じる。抜粋。

取引先から進捗状況や納期の問い合わせがあった時、従来は営業担当者が工場内を回り、職人一人ひとりに作業の状況を確認して回答していたが、システム導入後はパソコンで確認すれば、誰でもすぐに正確な状況を回答できるようになった

この世界をイメージできないからシステム化=悪になる。だからイメージを伝えるべく腐心するが、導入前で伝わらなければそこは権力を振りかざして実行するしかない。こういう時こそ、役職(冠)を使うタイミングではないかと思う。

 

ベテラン社員と新人社員の融合についての文章が深い。抜粋。

ベテラン社員は「自分たちは技術を盗んで覚えた」と主張する。若手は「ベテラン社員はちっとも教えてくれない」と不満を漏らす。

ベテランは「わからないなら聞きに来ればいい」と思うが、若手は「質問すると怒られそう」「何を質問すればいいかがわからない」と感じる。 

ベテラン社員を説得し、「チャレンジシート」で若手が掲げた目標を達成できる手伝いをしてくれるよう頼み続けた。

技術はベテランから若手へと継承するものだが、新たな発見や気付きは若手が生み出すこともある。ベテランも若手も同等の立場で一緒になって知恵を出し合い、うまくいったら、成功体験をみんなで共有することが大切だ

古参というだけで優れている、強い、偉いと勘違いする人が多い。学生時代の部活の先輩じゃない。大切なのは世代が異なれば考え方もトレンドも違うとうことを双方が認めることだ。メールは煩わしくLINEが良いというのはれっきとした若い世代の正しい意見だ。そんなこと言っていたら社内にチャットツールの導入なんて絶対に起きない。会社として若い人が意見を言える(文句ではなく)環境、雰囲気を作ることは非常に大切だと思う。

決まった仕事を淡々とこなす時代はとっくに終わっている。産業、ビジネスモデル自体がコモディティ化する中で、突拍子も無いアイデアが何より必要とされている。時間で労働者を縛る今の法律では限界だと思う。面白法人カヤックみたいに疲れたり煮詰まったら、鎌倉の海でサーフィンするくらいの環境がこれからの企業には必要だと思う。

 

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最後に著者の経営者像を端的に新たわした文章を抜粋。

「悩む」というのは「やる」か「やらない」か、「GO」か「NOT GO」かを考えること。2つの選択肢の中から1つを選ぶことだ。なぜなら「やる」か「やらない」かを迫られた時の答えは、すべて「やる」と決めているからだ。悩まないが、代わりに「迷う」。「やる」ということは決まっているから、どれをやるかで「迷う」のだ

奮い立たされ、励まされる一冊だった。男勝りだが実際はチャーミングな素敵な女性だった。

 

まとめ

  • イノベーションの最初の壁は社内にある。反対されてこそやる価値がある
  • 世代が異なれば考え方もトレンドも違うとうことを双方が認めることが大切
  • 「悩む」というのは「やる」か「やらない」か、「GO」か「NOT GO」かを考えること
町工場の娘

町工場の娘