vol.21「なぜ大企業が突然つぶれるのか」から見える20代の若者に伝えたいフレーズ
2012年の書籍なので少し古いかなあと思いつつも、読み返してみた。企業倒産というと大企業には縁遠いフレーズだったら、倒産じゃないけどSHARPが買収されたりともはや安全な企業なんてないと若い人たちは思っていると思う。
以下にあるように、世界の企業の時価総額を見ても、どれだけ企業が継続することが難しいかがわかる。10年後にベスト10に居続けられたのは僅か3社しかない。
<2006年 時価総額 世界ランキング>
- エクソンモービル(米)
- ゼネラル・エレクトリック(米)
- マイクロソフト(米)
- シティグループ(米)
- ガスプロム(ロシア)
- 中国石油天然気(中)
- トヨタ自動車(日)
- バンク・オブ・アメリカ(米)
- BP(英)
- HSBC(英)
<2016年 時価総額 世界ランキング(10/13時点)>
- アップル(米)
- アルファベット(米)
- マイクロソフト(米)
- アマゾン・ドット・コム(米)
- フェイスブック(米)
- エクソン・モービル(米)
- バークシャー・ハサウェイ(米)
- ジョンソン&ジョンソン(米)
- ジェネラル・エレクトリック(米)
- アリババ・グループ・ホールディング(中)
にも関わらず、なぜ若者の多くは(過去の自分も含めて)"いま"好調な企業を選ぶのか?そんなに保守的なのか?と考えさせられる。もちろん、そうでない若者も多数いるのは事実だが、将来性のある企業・業界を見る目も重要なのは間違いないだろう。
企業の境目が曖昧になっているのも特徴ではないか?本業と異業。そんなことを言っていては時代に取り残される。「労働力」「効率性」だけではなく「アイデア」「ビジネスモデル」が求められる時代になったと感じざるを得ない。
本題に戻す。本著は憧れてやまない夏野剛氏の著書。彼の言い回しは毎回心地よい。抜粋。
これまで日本人が得意としてきた「モノづくり」と、「モノではないもの」の区別が曖昧になり、製品のスペックではなく、アップルに象徴される「仕掛け」をどうつくるかで、勝負が決まる時代になった
以前に比べて日本企業が隆盛しないことが端的に述べられている。抜粋。
社会が複雑系に移行することで、業種ごとの境界が次第に薄れていき、他業種企業との提携も当たり前になった。そこで、これまで採用されていた「カイゼン」型の垂直統合モデルが徐々に通用しなくなりはじめた
世の中が複雑系に変化する以前は、「昨年の延長線上に今年がある」「昨日の延長線上に今日がある」と過去の流れに沿って未来を考えることが可能だった。だからこそ綿密なロードマップを作成し、そのとおりにビジネスを行なうことに意味があった
今日は大阪に出張していた。どこでも起きる「できない論争」。やったことがないからチャレンジするのであって、やらない理由にはならないはず。でも人は変化を嫌い、やらない理由を奥底から紡ぎ出す。
どんな赤ん坊だって失敗しながら歩くようになる。でもなぜ理屈の備わった大人は失敗を恐れるのか。それでは何も前に進まない。抜粋。
「石の上にも三年」という諺を持ち出して、若手社員の思考をたしなめる上司もいるが、気にすることはない。「石の上にも三年」どころか、いまや「石の上にも三ヶ月」。三ヶ月あれば、自分の適性を十分に理解できる
情報がどこでも手に入る時代。何年も何ヶ月も経験しないとできないことなんてないことの方が多い。
「自分は3年やって苦労した」と年配者は言うが、本当にその3年が適正なのかを考えたことなんてないはずだ。自分の後に続く若者に対して、教える人に同じような経験があるのであれば、それより短い期間を体験させるべきなのに、同じかそれ以上の苦行を強いる。馬鹿馬鹿しい。今の若者にうさぎ跳びをさせてはいけないだろうと思う。時代は変化しているのだから。
若い連中が日本の、世界のトレンドを作るんだから、年配者が若者に合わせようというスタンスが何より必要だ。
と熱く書き連ねたところで、心にぐさっと突き刺さる夏野氏の問いかけで終わり。抜粋。
変化を嫌い、座して死を待つのか、それとも複雑系社会を理解して、新しい未来を切り拓くのか。その決断は、読者一人ひとりに委ねられている
厳しいが紛れもない事実だ。重要なのはチャレンジする気構え。大丈夫、若いからこそ失敗が許されるし、失敗してもフォローできる。いやいや50代だって60代だって、年齢を問わずチャンレジしないと人生じゃない。だから人生は面白いと思うんだけど。
まとめ
- いま好調な企業よりこれから需要のあるであろう企業、職種を研究せよ
- 過去の延長線上に未来、さらなる成功はない。変化を当然と受け入れよ
- 大切なのは保守的にならず、チャンレンジして未来を切り開く気構えでだ
なぜ大企業が突然つぶれるのか 生き残るための「複雑系思考法」 (PHPビジネス新書)
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