vol.14「世界一清潔な空港の清掃人」から見える20代の若者に伝えたいフレーズ
プロフェッショナル仕事の流儀で「スーパー清掃員」として取り上げられた新津春子氏の書籍である。彼女がなぜここまで清掃に魂を入れ、なぜここまでメディアに取り上げられるのか、本著を読むと彼女の迫力と人柄を知ることができる。
自分も清掃の会社を経営しているが、総じて従業員から感じるのは職業に対するコンプレックスだ。「清掃=汚い」のような悪いイメージが世の中にあるのかも知れないが、綺麗になって喜ばない人なんて世の中にいない。逆に万人が喜ぶ仕事が世の中にどれほどあるのか? そう考えるとなんと清掃とは素晴らしい仕事なのかと思うんだが、そんな疑問に本当の意味で体当たりで立ち向かっているのが、新津氏だと痛感する。
清掃の仕事は確かにきついです。3Kって言われている。まだ社会的地位も低いと思う。でも、だから何? 私は気にしていない、だって私はこの仕事が大好きだから
社会の価値観そのものを変えていきたいと思うのです。そのためには、私たち清掃員がいい仕事をするしかありません。自分の仕事に誇りを持って、納得できるまできちんとやり遂げること。それを続けていれば、気づいてくれる人は必ず現れます。
映像を見ても、書籍を見ても、いつも笑顔でいる彼女の表情とスタンスには頭がさがる。中国で生まれ14歳の時に日本に来たものの日本語もわからない。アルバイトも見つからず、清掃の仕事しかなかったという。でもここまで突き抜けるんだから、人間は心の持ちようでどうにでもなると思う。今の状況を憂えずに、今できることを考え全力で取り組む。仕事の種類ではなく、取り組み方がいかに重要かと思う。
読んでいて、よく出てくる表現が「プロ」という単語だ。スポーツのプロ、料理のプロ、絵描きのプロ、など様々な業種にプロはいるわけだから、清掃でもプロがいて当然ではないか。彼女はビルクリーニング技能士など多くの資格を有し、現場での業務に加えた知識を持って、「プロ」として、今では羽田空港で500名の清掃員を指揮する立場にあるという。
目標を持って、日々努力し、どんな仕事でも心を込めることができる人が、プロフェッショナルだと思います。
若い清掃員に対して彼女は空港が自分たちの家であり、招く立場だ。だから自分の家を綺麗にしようと指導するという。そうすることで皆が考えて行動し、戦力化する。完全に高いレベルのマネージメントを実践していると感じた。すごい人だ。
彼女は自ら行動を起こし今の地位を築いたという自負があり、行動することの大切さをこう説いている。
思いは行動の原点になります。自分の思いがないと、人の思いに合わせて動くことになります。そして、常に誰かに合わせてばかりいると、元の自分がわからなくなってしまうんです。他の人に合わせてばかりいると、まわりの人も、「あの人、本当は何を考えているだろう」と思ってしまうんですね
20代の若いビジネスマンでも、見るべきはユーザの顔であり、上司の顔ではない。それを突き動かして行くのは企業なんていう「枠」ではなく、自分の「軸」だと言えるのではないか?
まとめ
- 今の状況を憂えずに、今できることを考え全力で取り組むことが大切だ
- 仕事をやる以上、今携わっているその分野の「プロ」であると認識せよ
- 自分の思いを強く持ち、人に合わせずまずは行動せよ