vol.29「日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?」から見える20代の若者に伝えたいフレーズ
米国の人事コンサルタントが、日本人のビジネスモチベーションに焦点を当てた、仕事の仕方、職場での働き方、仕事のやる気、上司と部下の関係など、あらゆるビジネスシーンにおける日本のNGなところを鋭く指摘した名著と断言できる。
20代の若者はぜひ、目の前にいる上司にこの本を読んでもらって、より楽しくも厳しく仕事ができる本来の良い環境を手に入れられるはずだ。
いつもの通りkindleのハイライト機能を使って読んでいるが、合計173箇所もラインを引いていることがわかった。どれもが日本人の常識を覆しつつも、いかに欧米人が自由に仕事を謳歌しているのかを思い知らされる。そこに巣食うのは日本古来の雇用制度にある。抜粋。
日本企業が安定した長期雇用を提供できた時代は過ぎ去った。しかしながら日本企業は、周りの世界の変化に目を向けることを怠り、縮小する一方の正社員を対象とした伝統的な人事管理のモデルにしがみついている
どんな組織でも基本的には過去の事例(前例)に従って仕事をしている。それが学校教育で学んだことであるし、なんらおかしいことではないと思っている。
しかし本当にそうだろうか?気づけば自動車は自動運転になりつつあり、コンビニの店員の仕事はなくなりICタグを要した自動レジに近々に変わる。TVの価値が崩れ、ファーストメディアはスマホになり、広告の価値自体が大きく変動しているし、日本は世界で初めて早晩、平均年齢が50歳を超える。凄まじい変化の中で我々は人類の歴史を刻んでいる。
根性、精神力、上下関係、残業の必要性、プライベートより仕事優先など、これまでの日本のビジネスシーンで必要とされてきた要素についても、もういい加減変えなくてはいけない時期に来ている。その悪の根源は会社におけるシステムと労働に関する法律にある。連続抜粋。
コスト削減ばかりに重点を置く人事管理は、ポジティブな側面に焦点をあてることが少ない。社員にやる気を起こさせ、士気を向上し、革新的な考えと優れた結果を生み出す方法に焦点をあてることがないからだ。変化を推進するには、やる気、生産性、利益、成長が向上する好循環を作り出すポジティブな側面に焦点をあてる必要がある
日本企業は社員の献身、やる気、動機付け、熱意といったものを当然と考えている
日本企業は、権利を放棄し極端な服従の態度を示す「正社員」のコンセプトを捨てるべきである
つまり、日本の法律も会社の仕組みも「管理・監視」が前提となっているように思う。本来教育とは引き出す行為であるし、何より社会インフラなり会社インフラとはそこにいる社員が生き生きと活動し、人生を楽しいものにするためにあるべきだと思う。抜粋。
雇用適性を保障するため、企業は教育だけではなく能力開発の機会を提供することが必要である。これには、挑戦的な仕事を与えることで社員が学習し成長できるようにすることも含まれている。雇用適性の保障のモデルは、社員の一番良い側面を引き出すための環境を育むものである。これは日本が今一番必要としているものである。現在のやり方は、社員の一番良い側面を引き出すことからは程遠いものであると言える
これだけ移動手段が発達し、仕事のやる場所も、やり方も多くの選択肢が増えて来ているのに、大都市東京ではほとんどの人がネガティブな心境で決まった場所に赴き、苦行をこなしているように見える。もちろん、仕事とは厳しい側面もあるに違いないが、本来はもっと場所、人、時間に縛られず、自由に楽しく取り組めるのではないか?
それを解消するには日本の法律も会社経営者も考え方の根底をぶち壊す必要がある。
- 上司への挨拶は本当に必要だろうか?
- 朝9時にダッシュで駆け込むことが自然なのか?
- 風邪を引いてるのに栄養剤を飲んでまで会社に這ってでも行くのが本当に礼賛されるべきなのか?
- 本当にどんな会社でも営業職から始めるべきなのか?
- どんな仕事でも本当に3年働く必要があるのか?
- 幼い子どもがいることディスアドバンテージになっていいのか?
日本文化は「頑張る」ことを奨励し「ガッツ」を賞賛する。長時間働くことは、その証明となっている
日本文化は我慢を賞賛する伝統があり、過酷なスケジュールやそれによって生じる悪影響を、文句を言わずに耐え忍ぶことが美徳であるとされている
仕事が他の社員(特に自分の上司)と同じ時間帯に、会社で行われたものでない場合は、仕事として認められない
笑えないくらい当たっている。こうやって並べてみると日本社会は異常だと感じないだろうか?
これまで抜粋したように、根本的に日本企業のあり方自体を考えさせられる本である。何も上司が本著に書いてあるよう変わることは期待薄であろう。
20代の若者は何より夢を持ちながら、今できるベストを尽くし、近い将来、少しでも自分が後輩を管理する立場になったら、自分がされて嫌だったことを決してせずに、若い連中の意見に耳を傾けるスタンスを持つことが大切だと思う。常に社会なり企業は新しい仲間に組織のあり方を変えて行くべきだと考える。抜粋。
日本企業は人事管理の方法を見直す必要に迫られている。これまでの安定に支えられて社員を解雇しなかった時代は過ぎ去ろうとしている。多くの日本人はそれに気付かず、時代遅れの考え方に固執しているように見える。一刻も早く幻想から目覚め、現実に合わせて変化を遂げることが必要とされている
結局は企業も個人も変化に対応することが当然だということを認識することが欠かせない要素だと思う。でもそれが難しいから人も組織も変わらない。
今できること、それは個々が個々の能力向上を主眼において取り組むことだ。上司のために仕事を、人生を過ごしては決していけない。自分のため、お客のため、社会のため、家族のため、それが人間として持つべき同然の感情だし、それがモチベーションではないだろうか?
最後に、本著の抜粋をTwitterでつらつら出させてもらったが、その過程で著者と交流できたことは、何より自分にとって大きな変化であり、この時代に生まれ、テクノロジーの進化により、貴重な体験ができたことに感謝したい。
まとめ
- 日本企業は、権利を放棄し極端な服従の態度を示す「正社員」のコンセプトを捨てるべきである
- 社会、企業とは新しい仲間、新しいことに対して、柔軟にあり方を変えて行くべきである
- 仕事とは、個々が個々の能力向上に主眼において取り組むものである