vol.24「キリンビール高知支店の奇跡」から見える20代の若者に伝えたいフレーズ
最近はもっぱらハイボールばかり飲んでおり、ビールは口を合わせる程度にしている。正直、LAGERはそんなに好きなブランドではないものの、日経の新聞広告を目にしてKindleで読んだ。読み終わって気づいたんだけど、著者の田村潤氏は成城大学の先輩であった。後輩としてこんなすごい人がいるのは嬉しい限り。
本著はサントリーの営業マンであった著者が高知支店に乗り込んで、一大改革をした奮闘記を元に描かれている。ノンフィクションのドラマのような展開で臨場感がある。
アサヒのスーパードライが世に登場し、ビール業界が大きくうねりをあげて変わろうとしていた時期。どうすれば高知県民にスーパードライではなく、LAGERを飲み続けてもらえるか、現場の社員、サントリーの本社も巻き込んでの熱い活動は脱帽レベルだ。当時の状況を端的に表している一節を抜粋。
長い間、とにかく売れる時代が続いたため、当時の営業は苦労や工夫というものが何か知りません。仕事といえば、キリンビールの特約店に割り当てを振り分けたり、本社への報告などの売上管理が主。問屋、酒販店に対してあまり売れない商品との抱き合わせ販売をしたりで、当然売れない商品を押し付けられた酒販店はキリンに対して良くない感情さえもっていたのですが、キリンはそれも深刻に受け止めていませんでした
改革の敵は社内にあったと語るように、成功をしたことを成功と思わず当然と考える。だからそこに課題がないし、変えるという発想が欠如する。売れないのは景気のせい、本社のせいとなり、これまでと同じことを繰り返す。こなす。業種こそ違え、同じようなことを自分も体験しているので同感する内容も多い。
著者が現場でスタッフに求めたものは自立であろうと思う。抜粋。
チームワークとは何か。それは馴れ合いではなく、ひとりひとりが自立することによってお互いを認め合って生まれるものです。それぞれが相手のために役立つことは何かを考えるようになる。「結果のコミュニケーション」を通じて、それぞれが自分の約束に責任をもつようになった。だからこそチームワークが生まれてきたのだと思います
高知県民はLAGERをよく飲んでいたにも関わらず、本社との連携も不足し、徐々にシェアを奪われそうになった時にうった広告がこれだ。
すごくドメスティックだが、このような取り組みがファンを作り、この書籍が生まれるストーリーを生み出している。なかなか素敵なクリエイティブだ。
そこで語られた、著者のブランドに対する考え方が端的でハッとさせられた。抜粋。
ブランドはメーカーのものではなく、お客様のものである
そう、結局はこちら都合ではなく、顧客都合で物事を考えるのが重要だということ。ビール業界に限ったことではなく、成功は時としてこういった常識を忘れさせる効能があるのかもしれない。
マネジメントに対する見解も奥深い。震える。抜粋。
マネジメントの本質はリーダーが正しい判断ができて、正しい指示を出して、指示が言いっぱなしになっていないか現場を把握すること
自分もついこの間、allメールで社内に本年度の指針を伝えた。一方的に。そこには昨年の宣言の結果報告と、今年にかける思いと数字がある。本当に経営者とは孤独であり、独り相撲を取っているようにも思えるが、根拠を持って正しいと思うことを覚悟を持って進めるしかない。笑われているかもしれない?であれば、それだけぶっ飛んだことをやろうとしているんだから、ほっておけばいい。
そんなメンタルを助けるような著者の一文を最後に抜粋。
部下が「この人のためならしょうがない」と思うような100度の熱を出し続けろ
そう、結局人は感情で動くんだ。だから気にしない。
良い管理者と良い経営者は両立しないらしい。情熱を持って夢を語り、組織の中で良い意味で浮いている、情熱家を今年も続けようと思う。無意識に。
まとめ
- イノベーションの最初の敵は社内にある。でも気にするな
- チームワークとは個々が自立することで、お互いを認め合って生まれるもの
- ブランドとは会社(こちら側)のものではなく、お客様のものである
キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! (講談社+α新書)
- 作者: 田村潤
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/04/21
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